自転車日和

一人旅好きな自転車女子のライド記録と雑記。ロングライド、ブルベと時々山登り。

【旅ログ10-5】不来方のお城の草に寝ころぶ旅5日目・夢の終わり

5/6、この日は連休最終日です。世間はもう連休が終わって仕事が始まっているようですが、カレンダー通りの休みなんてない私にはそんなもの関係ありません。むしろ土日祝日に人出の多いところに出向くなんてナンセンスだと思っているので、名所に行くには都合の良い日です。
加えて、一週間前には雨予報だったのが晴れ予報に変わっていたので、本当にこのスケジュールで組んでよかったなと思いました。ここぞという時にいつも雨はやんでくれるので、つくづく天気の神様に愛されてるような気がするなあ(だが2日目の所業は許さんぞ)


例によって早く目が覚めたので、朝食の時間もまだだし自転車を拭き上げて、朝食後にすぐ出発できるようにサドルバッグなどもセッティングしておきました。
これかなりびっくりしたんですが、6時前なのに交通量が多いんですよ。さすが大都会盛岡。これ、通勤通学時間帯(私が思うに8時~8時半前後のことですが)になってしまったらいったいどうなってしまうの…?と心配になりました。この日までの4日間、常に交通量の少ないところしか走ってなかったからね…。



さて、この日は見てまわりたいところがたくさんあります。
しかし、帰りの新幹線のこともあるので、時間に余裕があるようで余裕がないような気がするのです。


まず最初に訪れたのが、盛岡駅からほど近いところにある石川啄木新婚の家。
啄木が結婚式をするために家族も嫁もここに集まっているというのに、結婚式当日にすっぽかしてここに現れなかったという有名な家です。石川啄木のクソ話はたくさんありますが、このエピソード結構好きです。
時間が早くてまだ中には入れませんでしたが、外観だけでも見られて良かったです。




続いてはこの旅の最終目的の一つである盛岡城。
去年放送していた石川啄木を題材にしたアニメのワンシーンがとても大好きで何十回も繰り返し観たんですが、どうしてもこの岩手山と桜の見えるこの場所に来たかったというのがこのGWに盛岡を目指す旅の目的のひとつなのでした。




今は高い建物やフェンスで景色が遮られてしまっていますが(おまけに岩手山のてっぺん雲かかってるし)、見える山の形などが完全に一致していてテンションが上がりました。
桜終わっちゃってたしね!知ってはいたけどね…!てかこの二の丸に生えてる木、桜じゃなかったしね!(笑)




不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心


啄木が中学生の時に授業をサボってこの盛岡城にきて草に寝ころびながら詠んだ歌……というわけではありませんが、学生時代を回顧して詠んだ歌だそうです。当時、盛岡城と学校は200mくらいしか離れてなかったんだって。
桜の盛岡城の草の上に寝転んで啄木の気持ちになりたかったので、今回の自転車旅の記事タイトルもこの歌にちなんだものにしてみました。
で、二の丸のあたりには人がいなかったので、実際に草に寝転んでみました(笑) うーん、快晴の空だったし、空に吸われそうだったねえ。




ちなみに先の歌碑は金田一京助の書だそうです。金田一京助といえば、有名な言語学者の金田一先生の先祖にして石川啄木の親友(と書いて財布と読む)
金田一京助がいかに石川啄木が大好きかを書いた本がこちらなんですが、初対面のことから一緒に暮らしていた時の思い出などがたくさん書かれていて大変読み応えのある本です。薄い本の値段でとても濃い内容をたくさん読めるもんだからもう最高としか言いようがありませんでした。

新編 石川啄木 (講談社文芸文庫)
新編 石川啄木 (講談社文芸文庫)
講談社
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下を見下ろすとこんな感じ。しだれ桜らしきものは見えますが、もう花が終わっています。残念。




さて、交通量が多いせいでやや時間が押してしまいましたが、この後の予定も詰まっているので先を急ぐことにします。
次の目的地は石川啄木記念館。9時オープンで盛岡城から20kmちょっと離れているので、それに合わせて8時には盛岡城を出たかったんですが、少し遅くなってしまいました。
女川龍飛で走った、北上川の東側の道を北上していきます。あの時は確か盛岡に着いたのが20時くらいで、真っ暗でよく周りが見えない中、水の流れる音を聞きながら地味にのぼらされるこの道を走っていたんですが、こんな綺麗な眺めだったなんて。改めて、明るい時間にまたここに来られたことが嬉しくなりました。




さて、目的地が近付いてきました。
まずは石川啄木記念館の近くにある渋民公園に寄ります。顔はめパネルやりてぇ~。




渋民は石川啄木の出身地。この渋民公園に一号歌碑があります。
やわらかに柳あおめる北上の岸邊目に見ゆ泣けとごとくに
ちなみに歌碑の後ろにあるのは桜の木だったので、もう少し時期が早ければ桜と岩手山のコラボが見られたんだなあ~と思いました。




この渋民公園周辺の歩道にはこのように啄木の短歌が書かれていました。
これは結構有名なやつ。小説家になって名を残したかったけど、小説家としての才能はなくてやりたくもない仕事をやっていた時に詠んだ歌。今も昔も、やりたいことを仕事に出来るとは限らないのは変わりないからねえ…。
ちなみに石川啄木の歌で一番好きなのは、「一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねとしのりてしこと」です。俗物的で啄木のクソさがにじみ出てるところがめっちゃ好き。




さて、9時も回ったので石川啄木記念館に入ります。入館料300円。
展示室内の撮影は禁止ですが、ロビーはOKだったので記念に撮っておきます。
等身大の石川君、顔がリアルすぎてちょっと怖かった(笑) 啄木鳥探偵處の石川君はキャラデザ担当の絵柄がとても好きなんだけど、こっちはキャラ原案の人のやつだ。





アニメ化で地元の新聞に載るのすごくない…?
あとね、浅沼晋太郎のコスプレ記事とかね、テンション上がるよね~!あとはもう持ってるから買わなかったけど、アニメイト通販限定の絵コンテ集とかもここで買えるみたいでした。
5/18からは啄木鳥探偵處の企画展示をやるみたいで、せっかくならその時期に行きたかったよ~~~という気持ちでいっぱいなんですが、あまりに遠すぎるので諦めるしかなさそうです。




外には旧渋民尋常小学校が移築されたものがありました。




ここで石川君が非常勤講師をしていたんだなあと思うとなんかワクワクソワソワします。




こっちは生家。旧渋民尋常小学校の隣に移築されています。




渋民から国道282号線を目指して、気持ちの良い市道を走っていきます。
今日の本番はこれからなんですが、なぜかもうすでに700mくらいのぼらされているのです…なぜだ…なぜなんだ……5日目というだけあってもうすでに脚が重いんだが……。
今回の旅は獲得標高少なめですが、3日目と4日目の向かい風に大分脚を削られたようです。




だんだん岩手山の雲も晴れてきました。うーん、眺め最高~。




少し急いでいるのには理由があるんですが、帰りは田沢湖駅から新幹線に乗りたいんです。
登坂が圧倒的に遅いのでグロス5km/hであることを考えると、山頂から秋田側への下りでも写真を撮りながら下りたいし、八幡平アスピーテラインから仙北市へも10kmほど登るし、そこから田沢湖までも以前ブルベで走ったけど下り一辺倒ではないのです。慣れない輪行パッキングもあるので少し余裕を持って駅に到着したいということもあるし、そうなると15時にアスピーテライン山頂を出発するのがデッドラインになりそうなんです。
なんせこの新幹線の少なさ。21時台は仙台止まり。運よく19時台に乗れれば仙台でやまびこに乗り換えられますが、20時だと仙台の次が大宮駅なので平日夜のサラリーマンたちで混みあう下り電車で自転車抱えて電車に乗らなければならないのです。それだけは避けたい。


そんなこんなで道の駅にしねに到着。
暑かったのでソフトクリームでも食べようかなと思いましたが、さすがにほうれん草のソフトクリームは全く食指が動かなかったのでやめました(笑)
そして駐車場にはしだれ桜らしきものがたくさんありましたが、ここもほぼ終わり。
ここから八幡平の見返峠までは約35km、思ったより早く道の駅に着いたので、思ったより時間に余裕があるかもしれません。




道の駅にしねからはツーリングマップルおすすめの道を走って八幡平アスピーテラインを目指していきます。
途中で綺麗な川とこいのぼりを見かけたので立ち止まります。岩手山があるだけで、どこで撮っても写真映えすような気がします。




岩手八幡平サラダファームの前をのろのろとのぼっていきます。たまごソフトちょっと気になったな~。
ていうかなんだこれまだアスピーテラインのスタート地点にすら来ていないのにもうすでにのぼりが始まっているのか…?この辺はまだ桜が少し残っていて、絵的にも結構お気に入りな感じなので許す…。




もう少し北の方の道を走らずにサラダファームの方へ来たのには理由があります。
それがここ、上坊牧野の一本桜。見てください、この美しさ。岩手山と一本桜のコラボといえば小岩井農場が有名ですが、ここも最近有名になってきた場所とのこと。
時期的に桜は終わってるかなと思ったんですが、ちょうど5/4に開花のお知らせを見たので来てみました。
平日ということもあってか、まだ少し穴場的なこともあってか、それほどたくさんの人はいませんでした。




別角度からも。こっちからだとちょっと桜の花が偏っちゃってる感じかな。




さて、いよいよ本番ですよ!
今日の午前中は見どころが多すぎて、かなり一日が充実しているぞ!




松尾八幡平ビジターセンターの桜が綺麗。
なお、この時点でボトルの中身は半分ほどだったんですが、ここで中身を補充していかなかったことを死ぬほど後悔しました。




のぼり始めると急速に標高を上げていきます。
「エッこんなにきついの!?」っていうのが正直な感想でした。そして、「こんなにキツイということは後半緩むタイプに違いない」とも…。
止まって写真を撮る余裕がなかったので、車が来ていない時に適当にカメラを向けて何枚かパシャパシャと撮っておきました。平日だからか、交通量はかなり少なめなのがありがたかった。




2つめのトンネル?スノーシェッド?の中とか超絶坂がきつくてトンネルも長いし、本当につらかったです。




2つめのトンネルを抜けるといくらか斜度が緩まりました。
やはり5%以下じゃないと無理……しんどい……。疲労も蓄積して脚が重たい……。




標高700mを過ぎると雪が出てきました。
坂がきつすぎて思ったよりドリンクの消費が多くて、これ頂上まで持たない終わったな……と思いました(笑)




ちびちび水を飲みながら、徐々に目の前に広がる景色に癒されながら御在所までのぼってきました。
そしたら!自販機が!ありました!神よ!ありがとう!
トイレ休憩をしてボトルに一本補充。そしてその場で一本飲む。大分生き返りました。




気を取り直して登っていきます。
これで標高1000mいってないのすごくない?すべての景色が良い。




だんだんと雪の壁らしきものが増えてきました。




雪の壁~!って写真を撮りたすぎてウズウズしていましたが、まだまだ高い壁があるって聞いてるから我慢我慢。




ヒョ~~~景色たまんねえ~~~!




後ろを振り返っても絶景だ~~~!




ちなみに坂は5%前後と8%以上が階段状になって現れてるような印象でした。
残りの距離と標高で平均勾配の計算をしながら無心で進んでいくと、高い雪壁が!うおおおーーー!横向きの写真だと納まらないので縦で。どうですか。すごい。すごすぎる。




別の角度からも。
岩手山も映り込んでいていい感じ。




ここまで2人の自転車乗りとすれ違いましたが、標高1100mを過ぎたところでめちゃくちゃニコニコ顔でゆっくり下ってくる自転車がいて、すれちがいざまに目が合ったので会釈。
見たことある顔だな~と思いつつ、すれ違いざまに自転車を見たら知っている人でした(笑) GWのツーリングブログをほぼ毎日更新してくれている方だったので、毎朝記事を読んで、いま東北のどの辺にいるのかとかは知っていましたが、まさかこんなところで会うとは。てか超大型連休羨ましい~!
すれ違った後に呼び掛けてみましたが、気付いてもらえなかったのでそのまま先を目指すことにしました。


景色が良すぎる。




標高が上がるにつれて、両サイドの雪の壁も増えてきました。最高かよ~!




思っていたより最後の最後まで坂が緩まずしっかりした坂があったりで(下り区間があったせいでな…)、風が強かったりで苦戦しましたが、山頂レストハウスの建物が見えてきました。
レストハウス手前の雪の壁もすごい。高い。




そして見返峠に到着です。標高は約1550mだったかな。
気温表示はなかったけど、風の強さも相まってめちゃくちゃ寒かったです。




いや~こりゃ最高の眺めだな。




秋田県側はこんな感じ。




とりあえずお腹が空いたので、レストハウスで昼食にします。
稲庭うどんがあったので注文。ゆでたまごつき。
感染対策の一環として、セルフサービスの水は休止中でした。それなのに飲食物の持ち込みがダメとは…!水分なしで食事取るのわりと大変だったのですが…!(うどんの汁熱いからゴクゴク飲めないし)
稲庭うどんは細くて、なんかうどんみたいな感じだなと思いました。私は埼玉県民なのでやっぱり太めのうどんが好きですかね。




岩手の飲み物を集めた自販機があったので、ブルーベリージュースを買ってみました。
めっちゃブルーベリー!うまい!
ストーブの前で飲む冷たい飲み物は最高だぁ!




時間は14時半。この時間であれば20時台の新幹線には余裕で間に合いそうな気がします。
というわけで県境で写真を撮って出発。




……したわけですが秋田県側へ一気に下るのかと思いきやいきなり登りだし、しかも意外と長くて、これもしかしてギリギリになるのでは……?という懸念もあったので、田沢湖で新幹線に乗るのを諦めて盛岡から新幹線に乗ることにしました。翌日仕事だし、やはり帰れないのは一番マズイからね。盛岡からなら本数も多いしね。あとは単純に10km以上ののぼりはもう嫌だなということでね(笑)
というわけでせっかく登ってきたところを引き返し、樹海ラインへ。なるべく往路復路で同じ道は走りたくないタイプの人間なんですよ!




樹海ラインはアスピーテラインと比べても結構雪が残っているなという印象でした。
雪解け水で路面がばしゃばしゃで、雨が降った後みたいに自転車が汚れちゃった。




んん~絶景絶景。途中のガードレール外の雪でそり遊びしている家族もいました。




樹海ラインというだけあって、アスピーテラインと比べると景色も森の中を走るような感じというか。奥只見樹海ラインみたいな風景というか。




アスピーテラインの時もそうだったんですが、結構路肩にふきのとうが顔を出していました。
昔小学校1年生か2年生の国語の教科書にふきのとうの話あったな~。それでふきのとうというものの存在を知ったんだよな、懐かしい。




もうのぼりたくないと思ってこっちへ来たのに、樹海ラインは意外とアップダウンなのが大誤算でした。今日はもうそこまで登るつもりなかったのに、このままじゃ獲得標高2000m超えてしまう……のぼりたくない……。




のぼりたくないーーー!!
(でも景色が良いから頑張っちゃう)




これは雪解け水かな?とても綺麗でした。




んあーーーたまんねえ。




盛岡から新幹線に乗ることに決めたおかげで大分時間に余裕も出てきたので、たくさん止まって写真を撮ることが出来ました。




大分下りてきて、雪はあまり見えなくなりました。
でも麓が緑に色付いてきている岩手山も綺麗だねえ。




ザ・樹海。




松川温泉の手前あたりに桜が咲いている公園のようなものを見つけたのでちょっと寄ってみました。春って感じだなあ~。




松川を渡って岩手山パノラマラインの方へ向かいます。




岩手県民の森は桜がいっぱい咲いていました。




さて、パノラマラインですが……まさかののぼり!!
もうのぼりたくないって言ったのに!!ここから市街地に向けて下っていくんじゃないんかい!!




でもさすがパノラマライン、見晴らしはとても良いです。




うんうん、とても良い感じだ。




だらだらと緩めの坂をしばらくのぼった後、一気に下り坂。




再び道の駅にしねで一休みした後、盛岡まで自転車で行くかどうしたものかと逡巡。
外は明るいし時間はまだ17時前。いくらでも新幹線はあります。
でも国道4号で盛岡駅へ向かうのも、かと言ってアップダウンの迂回路で向かうのも、盛岡駅周辺の交通量と信号の多さもなんか嫌だったんですよね。距離的には20km程度だから全然行けない距離ではないんだけど。
せっかく地方に来たので、岩手銀河鉄道の駅で輪行して盛岡駅まで行くことにしました。
好摩駅でも良かったけど、良い機会なので石川啄木の生まれた渋民から。




渋民駅に到着です。次の電車が来るまで40分あったのでのんびり輪行の準備も出来ました。
来る時にも一回パッキングしたから、今回は10分くらいで準備できた!まあ電車来るまで30分暇だったんですが(笑)
17時で窓口が閉まってしまい切符が買えなかったので(今回ICカード持ってきていませんでした)、ワンマン電車の車内で車掌さんに声を掛けて手書きの切符を発行してもらいました。




車内はガラガラだったけど滝沢駅でどどどっと人が乗ってきて(仕事や学校終わりの時間だったせいかも)、でかい荷物持っててごめんなさいって感じでした。
盛岡駅からはやまびこでのんびり宇都宮駅まで。停車駅が多いので結構時間はかかりました。
新幹線の中で駅弁も食べるぞ!飲み物は東北限定のいろはすブルーベリーだぞ!(前日に宿の自販機で見つけたんですが売り切れで買えなかったので買えてよかった)




宇都宮からはこれまたガラガラの上り線で地元駅まで帰りました。
2年ぶりの長めの連休、普段気軽に行けないような場所でたくさん自転車に乗れて楽しかったです。非現実的な夢のような時間でした。いつになるか分からないけど、長めの連休が取れたらまた遊びに来たいなあ。


来週末はブルベの予定でしたが、これも延期になってしまったため、土日どうしようかなと悩み中です。カニリベンジもしたいなあ…。




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