自転車日和

一人旅好きな自転車女子のライド記録と雑記。ロングライド、ブルベと時々山登り。

BRM713女川龍飛1000・その5

その4の続き。




前日のリスタートの時に、寝る前に食事をしたにも関わらずすぐに空腹感に襲われてコンビニに寄ってしまったため、その時の反省をいかして出発前に食べる用のカップラーメンも調達していました。
いらない荷物を全て発送する袋に突っ込みながら、カップラーメンをちまちま食べます。
でもさすがに1時間前に食べたばっかりだから食べきれない…ここはおにぎりにしておくべきだったな…反省。半分くらい残してチェックアウト。
事前にチェックアウト時間も伝えてあったため、フロントでの手続きはスムーズに。予定より5分遅れて1時5分にリスタートです。泣いても笑っても、これが最後の12時間。




ここから次のPCまでは60km程度。平坦のつもりでいたので、4時半到着を目標として、1時の出発です。
宿を出るとすぐにみずほの里ロードという広域農道?に入ります。平坦かと思いきや、30km程度のアップダウンが続きました。印象としては、マイルドなビーフラインみたいな感じかな?
アップダウンが始まってすぐに、二人組をパス。もうしばらく行ったところで、もう一人をパス。意外と同じ時間にこの辺り走ってる人っているもんだなあ。


みずほの里ロードの大鷲とお月様。真っ暗で月や星の明かりがすごく綺麗な夜でしたが、街灯の明かりで台無しに…。




フォトチェック、斉内の河川公園のロードマップ(862km)に1時52分到着。借金は1時間。
ここで車を停め寝てるっぽい人がいたんだけど、煌々としたライトを車の方に向けてしまったのは申し訳ない……でもまだ後ろから来る人がいるんだ……。




自分の自転車のライトと月明かりを頼りに真っ暗な道を進んでいると、路肩に自転車をひっくり返して止まっているランドヌールがいました。
「大丈夫ですか?」と声をかけると、「予備のチューブ持ってませんか?」とのこと。どうやらここに来るまでにすでに2回パンクしてしまって予備チューブが尽き、トドメに夜明け前の農道で最後の一撃を食らってしまった模様。20m程度だったと思うけど、微妙に砂利道区間もあったから、もしかしたらそこでやられてしまったのかもしれません。
チューブは常に2本体制なので(万が一道中やられてしまった時のために、青森と田沢湖の宿にもチューブを送っていました。無傷だったのでそのまま送り返しましたが)、「多分大丈夫だと思いますけど最初から穴が開いてたらスミマセン」と1本渡して、その人の無事を祈りながら先に行くことにしました。




久しぶりに誰かと会話をしたからか、すっかり眠気も覚めて快調。周りに民家もなかったので、大声で歌を歌いながら気分よく先に進みました。眠い時って眠気をごまかすために歌おうとしてもレパートリーが思い浮かばないのに、テンションが上がってくると何曲も続けて歌えるのふしぎだなあ~。


途中で再びオーディナリーと遭遇。
それにしてもこの方、ずば抜けて速いペースで走ってガッツリ休憩を取っているわけでもなく、淡々と同じペースで走っているし、何度もこの方の前に出ているのにこちらが休んでいる間にいつの間にか前を走ってる。休憩しながら走ってるんだろうか?もはやこの人自身がガソリンで動く仕組みになっているのでは……?まじまじと見ていたわけではないけど、一度PCで一緒になった時にも、食事はとらずにレモンコーラを大量投入していた覚えしかない……。


真っ暗な中、3時を回って横手市に突入。
途中で道路脇の歩道に、リアライトだけ付けた状態であおむけで横たわっている人がいてびびりました。寝てるのかなって思ったから声はかけずに通り過ぎたけど。




3時半頃になると徐々に空が白み始めます。3日連続で道路で夜明けを迎えている…過酷すぎるぞ1000kmブルベ。




下り基調な住宅街を抜けると横手市の市街地に出ます。
空が明るくなると同時に、さっきまでいなかったランドヌールの姿がたくさん見え始めました。横手市で休んでいた人たちが活動を開始したのかな?


PCまで残り12km、クローズ50分前というところでお腹が空いたので、わざわざ対向のコンビニで自主休憩。あとちょっとなんだからPCまで頑張れよって感じなんですが、平坦だと思っていた道が実はアップダウンだったときの心身へのダメージは大きいのです。
サクバタキャラメル味美味しすぎる。
目の前を通り過ぎる参加者たちに手を振りながら、スイーツを頬張ります。うん、疲れた体にはやっぱり甘いものだわ。最高。手を振り返してくれるのも嬉しいね。




甘いものに癒されたところで再び走り出します。
遠くの方に微妙に雪が被った山?いや、さすがにこの時期に雪はないかな?地図を見た感じだと、方向的には新山という山だろうか?




それにしてもこの国道13号、これも地味にのぼったりしててきつい。
何度か後ろからトレインが来ましたが、やっぱりついていけないので自分のペースでゆっくり走行。でも残り5kmくらいのところから「あれ?時間ギリギリじゃない?」と気付いて少しだけペースアップ。
最終PCファミリーマート湯沢翔北高校前店(911km)には5時5分に到着。クローズ13分前でした。4時半到着見込みで宿を1時に出てきたけど、自主休憩を除いても4時半には着かなかったな…。もう少し寝たいからと1時半まで宿に滞在しなくて良かった。
ちなみに道中でチューブを渡した方もなんとか間に合って、無事に通過することが出来ていたみたいで良かったです。コンビニでお会いして、ちょっとしたお礼を頂きました。ありがとうございます。




PCのクローズは5時18分でしたが、前のバージョンのキューシートでは5時23分がクローズだったんですよね。

私もキューシートは前のバージョンを使用していて、コースの修正箇所だけ手書きで修正していたので、クローズタイムはそのままにしてありました。スマホに最新版保存してあったので、時間等はそっちで確認していましたが。
クローズタイムを勘違いしていた人、18分ジャストのレシートを受け取った人たちで多少ざわざわしていましたが、ここでまさかのタイムアウトを食らった人たちはやりきれないだろうなあ…。


PCで聞こえてきた話の中に、「道端で仮眠していたら野犬に顔を舐められて目が覚めた。もし野犬が起こしてくれなかったら寝過ごして間に合わないところだった」というのがあって、それが私の中ではインパクト大でした。サバイバルすぎるでしょ…。
その他にも、隣でご飯を食べていたランドヌール宮城のスタッフの方に稲庭うどんのことを教えてもらったりしました。この方、元は埼玉出身だということで、埼玉の話もちょっと出来て嬉しかったです。1000kmの練習のために埼玉から仙台まで自転車で移動した話とかはちょっとよく分かんなかったですけど!


しっかり補給をしてから、このブルベで八幡平に続いて二番目の標高をほこる栗駒山の方へ向かいます。ここから50km、のぼりが続きます。でも大丈夫。あと7時間で90km走ればいいんだから。時間はたっぷりあります。
早朝の長閑な田園風景たまりません。




なんかこう、言葉では説明しづらいんだけど、こういう景色ってザ・秋田って感じ。




噂の稲庭うどんが。この辺たくさんお店が立ち並んでいました。いつか開いている時間にまた訪れてみたいものですね。




熊の絵があまりに強そうだったので、ひらひらしてたけど頑張って撮った!




国道398号は道がすごく綺麗で走りやすかったです。坂も3~6%くらいで、疲労も少なく登りやすい。




それにしてもここ、細かなアップダウンが非常に多いんです。2歩進んで1歩下がる、3歩進んで2歩下がるみたいな感じ。
標高500mなのに獲得標高は1000m登らされてたりしました。大雑把な標高グラフじゃ分からないくらいのひどい詐欺だよ!




もはや時間の感覚が狂ってしまっていますが、この日はもう平日の火曜日。世間の三連休はもうおしまいなのです。地元の小学生がスクールバスを待っていたり、この辺の人たちが出勤のために車で下っていくのを後目に、我々は自転車でどんどん山を登っていくのです。
平日の早朝からド派手な格好をした自転車がたくさん山の向こうを目指しているんだから、そりゃ異質だろうなあ。




とことん山。名前からして山嫌いにはたまらん名前です。そしてこのリスの表情である。




こんなに登ったところにもこんなに住宅があるんだから本当にびっくり。こんな場所での暮らしは関東平野民には想像できません。




小安峡のあたりは景色も最高だったね。晴れてて天気良かったもんなあ…。




このラスト100kmくらいの区間は、もはや顔を合わせる人たちが大体同じなのです。
ここまで900km以上一緒に走ってきたともなると、自然と仲間感みたいな雰囲気が出来上がります。通り過ぎる時に一声挨拶するだけじゃなくて、プラスアルファで声をかけてみたり、ボトルの中身大丈夫?って声を掛けてくれたり、写真撮ろうか?ってお互い撮りあったりとか。
ここまで来たらもはやパレードランみたいなものなので、本当に和気あいあいと良い雰囲気でした。




はあ……この空に向かって伸びていくようなカーブ……たまりませんね……。




左の方に不穏な白い影が見えますが、それでも良い景色には変わりありません。




途中の栗駒神水でお賽銭をして湧き水を頂きました。
先に到着していた人は、坊主頭だから冷えて風邪ひく心配がない!って言いながら頭からかぶっていました(笑)
でもこの水、かなり冷たくてのぼりで暑くなった体に染み渡ります。しかも美味しい。顔を洗って、ボトルを満たして出発。




登っていると、先ほどの白い不穏な影が本気を出し始めたのか、路面はフルウェット状態に。それに加えて、霧雨はメガネをかけている人の敵だからやめろとあれほど言っているのに…!
それでも黙々と登って、ようやく秋田県と宮城県の県境へ。宮城よ、私は帰って来たぞ…!




湯沢のPCを出てからここまでで標高は700mちょっとなんですが、その倍登らされています。酷い!標高詐欺!アップダウンは害悪!




で、さらに酷いのがこれ。
大体県境って頂上だったりするから、魅惑のダウンヒルタイムかと思いきやまさかまさかの登りですよ。霧雨で視界も悪い中、さらにのぼるのです。




工事区間で足付きを余儀なくされたり、へろへろになりながら登っている女性に「あとちょっとだから頑張りましょう~!」と声をかけながら、ようやく最高地点の湯浜峠に到着。
ここで先着していた方に「正真正銘のてっぺんです!」と言われて、思わずニヤつきます。やった…これでもうのぼりは全て終わった……もうこれでおしまいなんだ……!




レインウェアを着込み、ここから一気にダウンヒル。
しばらく下ると雨もやみ、路面もドライ状態に。やっぱり山の上ってのは天気が変わりやすいもんだよねえ…。


試走レポートで気になっていたロイズのソフトクリーム目当てに道の駅に立ち寄りますが、どうやら寄る道の駅を間違えたようでした。私が寄ったのは道の駅はなやま。ロイズのソフトが食べられるのは、あ・ら・伊達な道の駅…。ぐぬぬ…心残り…。
ちなみに道の駅はなやまでは、ふさすぐりのソフトクリームが食べられました。ソフトクリームの甘みの中に、ほんのりと酸味があって美味しい。
他の方におすすめされたかりかりあんは、かりんとう饅頭みたいな感じかな?食感がかりかりなのかと思ったらふにゃふにゃでした。美味しいんだけど、かりんとう饅頭部門では沼田屋のかりんとう饅頭に勝るものはないんではないだろうか。
サドルバッグの中も大分宅急便で送ったので、職場へのおみやげもここで買っていくことにしました。




下界は暑いのでレインウェアを脱いで、お土産をサドルバッグに突っ込んで準備バッチリ。あとはゴールを目指して残り20kmほど、残り時間は1時間50分。ここまで来たら勝利確定。




花山湖、結構広い。湖の周りも微妙にアップダウンでした。桧原湖の西側みたいなイメージ。




花山湖を過ぎてからも、もう残りは平坦なのかと思いきや、3kmほどの謎の小さな峠越え。体感的にはちょっと優しくて短い上曽峠みたいな感じだろうか。
のぼっている途中で出会った人たちみんなで「最後の最後で登りとか聞いてない!」って文句を言いながらのラストスパート。
あとちょっとだから…と、うっかり道の駅でゆっくりしていた人たちはわりとここで焦るんではなかろうか…。宮城のブルベではよくここを通るって宮城の方に教えていただいたけど、知らない人にとっては酷い初見殺しですよ!


最後に国道47号に出てからの残り7kmはとにかく全力で走り切るのみ。
多分この区間が今回のブルベで一番スピードが出てたんじゃないかって思います。
頑張って頑張って、そしてとうとうゴールのセブンイレブン大崎岩出山バイパス店(1001km)に到着。結果は74時間21分での完走でした。




エビマヨおにぎりで祝杯をあげ、ゴール受付のためにもうちょっとだけ走ります。
大崎と湯沢のPCは結構時間ギリギリだったため、「危なかったね」言われました(笑)
いや、ほんと……特に大崎は死に物狂いだったよ……。


全てが終了して、ストレッチしてちょっと休憩。
続々とやってくるランドヌールたちにお互い労いの言葉をかけているうちに、雨がぱらついてきたのでそろそろその場を離れることにします。
そうです。このブルベ、スタートとゴールが違うので、女川まで車を取りに戻らなくてはならないのです(涙)


自走で70kmだし、と思っていましたが、ゴールしたらお尻と手が痛いのを急に思い出して走りに集中できないし、雨も本降りになってきてしまったので、女川まで一本で行ける小牛田駅までなんとか走ってそこから輪行。保険で持ち歩いてる輪行袋がやっと役に立ちました。


待合室で電車待ちをしている間にぜっとさんにお会いして、そこから色んなところでのブルベの話を聞かせてもらいながら女川まで行きました。
私のブログで今回の女川龍飛の準備編を読んでくださっていたようで、走行プランについて褒めてもらいました!走力と経験の無さを計画立てて何とかしていくタイプなので、ベテランの方にその計画の部分を褒められると嬉しい~!


女川駅に温泉が併設されていることを教えていただき、お風呂でゆっくりしてから石巻の仮眠所へ向かって私の初めての1000kmブルベは幕を閉じました。




初めての距離、何日も続く夜間走行、悪天候の中の走行、今までに出たことのなかった体の痛み、落とし物や機材トラブルなど…1000kmならではの経験もありましたが、それ以上に素晴らしい景色や素敵な道、他の参加者さんたちとの連帯感なども味わうことが出来て最高のブルベになりました!
また来年以降も易しめのコースがあれば走ってみたいと思います!
200、300、400、600、1000を全て完走して、欲しかったメダルも全てコンプリートということで、これにて私の今年のブルベはおしまい!


みなさまありがとうございました!




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獲得標高は約8500mとのことです。体感的にはもっとのぼった気がするけど…。

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