自転車日和

一人旅好きな自転車女子のライド記録と雑記。ロングライド、ブルベと時々山登り。

BRM713女川龍飛1000・その3

その2の続き。



23時半に目覚ましが鳴り、もぞもぞとベッドから這い出て準備をして、24時ちょうどに出発。
本当は4~5時間休める算段だったけど、まあ3時間爆睡出来たしいいでしょう。
3日目は次の宿を取ってある田沢湖周辺まで、最長の350kmを走らなければなりません。




寝る前におにぎり2個食べたにも関わらずまたお腹が空いてきてしまったので、最初のコンビニでおにぎりを追加で1個食べました。
仕切り直して、今回3回目となるPC3までの道を走ります。往復で10km以上余分に走っているから結構なタイムロスではあるけど、宿でゆっくり休めたのでまあ良しとしましょう。



静かな夜の住宅地を駆け抜け、海沿いを走ります。
するとまたしてもメガネにぽつぽつと水滴が。風も強いから海水が飛んできてるのかなあ…なんて思いながら進んでいると、着ているレインウェア(防寒着として宿を出る時から着ていました)にもぽつぽつと。あ、これ雨じゃん…。
最初は霧雨でしたが、外ヶ浜の街中に入る頃には路面はフルウェット。雨も普通にざーざー降り始めてしまいました。
初日に雨が降るのは想定していたから宿にシューズ内を乾かすための新聞紙を送っていたけど、さすがにこの時間に降られるとは思ってなかった。今日は一日濡れたシューズで走らないといけないのか……。ちょっとブルーな気分になりました。雨が上がったら外側は乾くけど靴の中は濡れたままだし、靴下が濡れていては足もふやけたままだし。防水ソックス送り返さなければよかったなあ…。




町中を抜けると景色は再び真っ暗闇に。濡れた路面にライトが反射して、かなり見にくいです。
ざーざー降りの雨の中走っていると、前方に懐中電灯の明かりが2つ。こんな真夜中に街灯もない道を散歩している人がいるの!?と驚愕していましたが、「すみませ~ん!」と声をかけられたので立ち止まります。
どうしたんだろう?と思っていたら「五所川原に行く道ってどこですか?」と。
「地元じゃないから分からないんですよ、すみません。」
そう答えると、今度は「イベントの参加者じゃないんですか?」と聞かれます。
「そうですけど…。」
この辺でなんか噛み合ってないような感じがして、おかしいなって思ったら、この二人組、また別のイベント(みちのく津軽ジャーニーラン)の参加者のようでした。多分こっちがこんな真夜中の人気のない場所でめちゃくちゃ目立つ格好をしていたから、スタッフか何かかと思ったのかもしれません。
マラソンの参加者ではなく別の自転車イベントの参加者であることを伝え、「すみません」とその場を後にしました。
それにしても3日間で自分の脚で250km走る変態と3日間で自転車で1000km走る変態の邂逅……一体どういうことなんだ……。



その後ももう一人、別のマラソン参加者に呼び止められてコンビニの場所を聞かれましたが、道すがらでは見かけなかったことを伝えてその場を去りました。
宿で乾燥機かけてる間に女川龍飛参加者のTLで外ヶ浜にファミマがあるらしい情報は仕入れていたんですが、正確な場所までは未チェックでしたし。



今別町に入ると、なぜか突然雨はやんでいました。雨がやんでくれたのはありがたいけど、ウェットなアップダウンでブレーキシュー大分ダメージ受けたのでは…?(アタック日本海のトラウマ)




ともあれ、雨がやんでくれたのはありがたいです。なんだかんだで「うわ!これ雨じゃん!」ってなってから1時間半は走っていたかも。
三厩に入ると少しずつ空が明るくなってきました。明るくなった時間に竜泊ラインの眺瞰台にたどりつくように走るのがこの日のプランだったので、良い感じのペースです。
ところで竜泊ラインの看板の文字が「龍泊」に修正されまくってるんだけど、龍泊だとなんか個人的に字面がすごく嫌だ。竜泊がいい。




お腹が空いてきた頃に三厩でファミマを見かけたんですが、どうやらこのファミマ、24時間営業じゃなくて5~23時営業の様子。まじかよ。やってない。小泊のファミマですら24時間営業なのに。
前情報で見た外ヶ浜のファミマっていうのがどうやらここのようで(三厩が外ヶ浜町なの知らなかったです)、補給のあてにしていたので結局無補給で100km以上走らなければいけないのは痛手でした。


すっかり明るくなり始めた頃に、三厩の民宿から出てくるランドヌールを発見。良いところに宿取ったなあ……雨にも降られずコースを逆走することもなく明るい時間い竜泊ラインに挑めるなんて。
民宿ってチェックイン時間が早くて、チェックアウトも早朝には出来ないイメージだったので、最初からブルベ中の宿としては選択肢になかったんですよね。




洞門だいすき!




小泊に親戚宅があるので小泊側からの竜泊ラインは何回も子供のころから車で通ったことがあるし、去年は自転車でものぼったんですが、今別側から来たのって初めてなんですよね。
津軽海峡冬景色の歌謡碑までの坂が予想外の激坂で死にました。民宿ランドヌールにもさらっと抜かれました。まあ私は坂苦手だからしょうがない。



フォトチェック津軽海峡冬景色歌謡碑(582km)には4時20分に到着。借金3時間半。
ブルベでこんな多額の借金を抱えたのは初めてです。というか確実に2日がかりのブルベって中央アルプスしか参加したことなくて、そこでも通過チェックでの借金はせいぜい15分程度だったので…。




ここまで来たら階段国道にもお目にかからねばなるまい。去年も同じ写真撮ってるけどな。




一通り写真を撮ったらいざ竜泊ラインへ。




10%の坂と5%程度の坂が階段状になっているような印象を受けました。
去年反対から登った時はもう少し楽に登れたような気がするんだけど、今日なんかしんどい。もう600km近く走ってるからなのか、登坂力が落ちているのか。いや、もともと高くはないけど。もはやわからん。




龍飛あるあるですが、基本的に強風と霧っていう印象が強いです。
晴れてさえいれば景色は最高なんですけどね。晴れてさえいればね。
ぶわーっと強風に煽られて危ないので、スピードの出ない激坂区間では自転車から降りて押し歩きます。今までは坂で足をついたら負けって思ってたけど、今や全然そんなこと思わなくなったな。別にヒルクライムに命かけてないし、なるべく疲労の少ないように越えるのが一番。




眺瞰台に到着。せっかくなのでパノラマ写真。
本来なら奥に青い空と青い海が見えるはずなんだけど!残念!
とにかく風が強すぎるので、スピード出しすぎずに減速しながら安全に下っていきます。




下っていると少しずつ海の青が見え始めました。
ちなみに今度はここでスマホを落としました。ガラスフィルム取れてどこかいったけど、ちゃんと起動してくれたので良し。もしダメだったらフォトチェックの写真も確認できなくなるし、DNFしてここから数キロの親戚宅に行ってたかも。




一の坂を過ぎるとこの景観の良さ。いや、竜泊ラインはどこも良い景色なんだけどね。天気さえよければね。




この写真の多さからお察し頂けるかと思いますが、かなり止まっては写真を撮っているのです。完全に余裕ぶっこきすぎていました。
道の駅こどまりを過ぎると、地味に上り坂。あれ?ここってこんなにのぼるんだっけ?って感じ。そういえば確か去年来た時は竜飛岬で家族に回収されて車で戻ったから、ここがこんなに大変なの知らなかったなあ。



そんなこんなで通過チェックファミリーマート小泊店(607km)には6時40分くらいに到着。借金は4時間。増えている……たった20km進む間に借金が30分も増えている……。
確実に立ち止まりすぎでしょう。激坂は無理せずに押し歩いていたせいもあるかもしれません。
6時前に着けば親戚宅に顔見せに行く予定でしたが無理でした。せっかく滅多に来られない青森の端まで来たから、顔くらい見に行きたかったな。ちなみに到着予定も6時半の
過ぎてしまっています。(※ここで「でもせっかくだし」と親戚宅を訪れなかったことが今後の明暗を分けました)




6時間ぶりの補給で、豪快にカルボナーラをすすりながら、自分用キューシートと見比べながら、スマホで次のPCまでの情報をチェックします。
次のPCまでは121km、スマホでルートラボから標高グラフを見てみると概ね平坦の印象。クローズ時間が13時12分。到着想定時間は12時半。
何かがおかしい。そう、カルボナーラを食べている間にも他の参加者はコンビニを出発していてもう最後の一人も同然(ツイッターでTL確認したら後ろに借金5時間でDNF濃厚な方もいらっしゃいましたが)。
121kmあるのに、もう7時になろうとしているのに、あと6時間で走り切らなければタイムアウトなのです。平坦基調とはいえ、ここまで疲労していてグロス20km/hは普通にきつい。


急いでカルボナーラをかき込んで、出発の準備をします。
雨で靴も靴下もやられてしまったので脱いでいたんですが、慌てて履きます。まだ湿ってるとかそういう問題じゃないんだよ!
写真に太い脚が映っていますが、私の足は内反小趾なんですよね。500kmくらいまでは気にならなかった小指側の痛みもじわじわ出てきています。浮腫み始めてたせいもあるのかも。




やる気!元気!岩木!(余裕ぶっこき)




ここからしばらく小泊道。
せっかく朝食を食べて出発して、さてグロス20km/hで走らねば!と意気込んでいたんですが、東からの猛烈な向かい風とアップダウン。思うように進めず、サイコンを見るとスピードが20km/hを切っているので焦ります。


ただでさえ進めなくてどうしよう~!と焦っていると、今度はお腹が痛くなってきました。今回のブルベ初となる腹痛峠です。
道の駅十三湖高原が近くにあるのは知っていたのですが、焦っているせいか、かなり遠く感じる。なかなかたどり着かない。ピンチ。
結局は道の駅よりも手前に市浦のローソンがあったので、そこでなんとか事なきを得ました。


徐々に時間に余裕がなくなっていく中、進路は向きを変えて南下します。
中泊~五所川原周辺のこのあたりは、私の体感的にはこのブルベで唯一の平坦区間なのですが、東から風が吹いているので完全に横風なのです。それでも今のうちに!とスピードを出して前に進みます。このペースで120km走れるわけなかろうに…。


岩木さん本気出して!




五所川原では、夜間に遭遇したウルトラマラソンの人たちと再び合流し、しばらく同じコースを走ることになります。
そして、ランナーたちと一緒に走っていたせいで、キューシートにも「見落とし注意!」と書かれていた左折を見落としてミスコースしてしまったわけです…。たった数百メートルですが、このギリギリの状況の中では致命的なミスコース。遠くまで行かないうちに気付いてよかったです。慌てて戻ってコース復帰しました。


途中途中にランナーを応援している一般の人たちもいたんですが、他のイベントに参加している私に向かって手をたたいて応援してくれたのが励みになりました。お目当てはマラソンの方だっただろうに、でもかなり救われました。


ちなみに当初は五所川原で宿をとることも考えていたのですが、こっちにしなくて良かったです。もし五所川原に宿を取っていたら泊まれなかったと思います。竜泊ラインが素晴らしいのを知っていたから、明るい時間に通るようにプランを立てられたのが功を奏しました。



弘前市に入るといつの間にやら再びアップダウンを微妙に織り交ぜつつの平坦。風は相変わらず敵です。
弘前市内を走っていると、数時間ぶりに他のランドヌールを見かけました。ちょっと安心感…!
さすがにカルボナーラだけで120km走るのはつらくてお腹が空いてきたので、途中のコンビニで、信号待ちの間に食べられるパンを買ってぽっけに突っ込みました。もはや止まってゆっくり食べている時間なんてないのです。




3人をパスして、残り56kmのところでPCクローズまであと3時間5分。
こりゃ行ける!と思ったのもつかの間、まさかのアップダウンが始まりました。
せっかく前方に見えていた他のランドヌールも、上り坂であっという間に姿が見えなくなってしまいます。スピードもせいぜい15km/hしか出ないのです。このペースで走っていては、単純計算で3時間で45kmしか進めません。


終わった………これ絶対間に合わない………せっかくここまで頑張ったのにタイムアウトだなんて………。
ランナーに話しかけられた時にわざわざ親切に止まって対応してやらなければよかったんじゃ?いや、写真を撮るために止まりすぎた?朝ごはんはいつもみたいにおにぎりだけお腹にぶちこんでおけばよかったのでは………?


深夜に青森市を出発してからタイムロスになった要因を思い浮かべては、サイコンに表示される時速を見て、目の前に立ちはだかる坂を見て、所要時間を計算して……。もはや絶望的な気持ちになります。
ああ……せっかくここでリタイアになるんだったら、おばあちゃんの顔でも見ておけばよかったなあ……。


ここまで来て諦めなければならない悔しさ、速く走れるだけの脚力のなさ、この日走り出してからの後悔、痛む手とお尻と足の指に耐えきれなくて、泣きながら必死に走りました。アラサー女が真昼間の国道を嗚咽しながら必死に走ってる姿とか怖すぎるでしょ…。
それでもなんとかずっと前にいる人の姿だけは見える位置をキープして走らなければ…!


必死に必死に引き離されすぎないように、姿が見えなくならないように、前方に小さく見えるランドヌールを追いかけて行くと……。




秋田県に突入です。なんとか青森県を脱した嬉しさと、秋田犬の写真の可愛さと、前方に広がる長い下り坂に再び涙が出ました。

でももう泣くのはおしまい。


下り坂でいくらか精神的な余裕が出たおかげで、冷静さを取り戻して走ることができました。
下りの途中で寄り道してる人たちを何人か見かけたけど、あれがババヘラアイスだったのかな?せっかく秋田に行ったから食べたかったなあ…。


秋田県も白と青と緑で彩られた景色が素敵。




下り基調だからと油断せずに最後まで駆け抜けて、PC3セブンイレブン大舘池内店(728km)に到着したのは13時ちょうど。クローズ12分前でした。
時間内に到着出来て本当に嬉しかった。小泊~大舘の120kmは本当につらかった。時間的にも精神的にも肉体的にもつらかった。体の痛みが本当につらかった。でも諦めなくてよかった…!




なんとかPCに間に合ったので、しっかりと休憩をしました。
手は痛みが酷くて真っ赤っか。シューズ内は湿っているので足の指はふやけています。内反小趾の部分から足の小指にかけては、シューズに長時間当たっていたためか、もはや感覚がありませんでした。




14時頃にPCを出発するも、すぐにまた腹痛峠が立ちはだかります。
すぐ近くの別のコンビニに駆け込んで事なきを得て、あまりに暑いのでせっかくだしアイスをひとつ(腹痛なのにアイスって大丈夫なのか…と思いましたが大丈夫でした)




アイスでほっと一息ついた後、まさかの700km過ぎてからのこのブルベ最大の標高を誇る八幡平へ向けて再び自転車に乗り出しました。




その4に続く。

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